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『法華本門宗血脈相承事』


(★1687㌻)
 本門は皆実にして虚ならず」云云。
               爾前二種の失の事、一には行布を存するが故に仍未だ権を開せずとて、迹門の理の一念三千を隠せり。二には始成を言ふが故に尚未だ迹を発せずとて、本門の久遠を隠せり。迹門方便品は一念三千・二乗作仏を説いて、爾前二種の失一つを脱れたり。本門に至りて迹門の十界の因果を打破る、是即ち本因本果の法門なり。実の一念三千も顕はれず二乗作仏も定まらずと云云。
               世間の罪に依って悪道に堕ちん者は爪上の土、仏法に依って悪道に堕ちん者は十方の土の如し。其の故は信心の根本は本迹勝劣、余の信心は枝葉なり。
 九、余行に渡る法華経の本迹 一代八万の諸法は本因妙の下種を受けて説く所の教々なるが故に、一部八巻乃至一代五時次第梯橙は、名字の妙法を下種して熟脱せし本迹なり。
 十、在世観心法華経の本迹 一品二半は在世一段の観心なり、天台の本門なり。日蓮が為には教相の迹門なり云云。
 十一、脱益の妙法の教主の本迹 所説の正法は本門なり、能説の教主釈尊は迹門なり。法自づから弘まらず、人、法を弘むるが故に人法ともに尊し。
 

平成新編御書 ―1687㌻―

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