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『就註法華経口伝』


(★1752㌻)
 宝とは一念三千の開悟なり。法界を多宝仏と見るを見恒沙仏と云ふなり。故に法師品の次に宝塔品は来たるなり。解行証の法師の乗り物は宝塔なり云云。今日蓮等の類南無妙法蓮華経と唱へ奉るは、妙解・妙行・妙証の不思議の解、不思議の行、不思議の証得なり。真実一念三千の開悟なり云云。此の恒沙と云ふは、悪を滅し善を生ずる河なり。恒沙仏とは一々の文々皆金色の仏体なり。見の字之を思ふべし。仏見と云ふ事なり。随順とは仏知見なり。得見の見の字と見宝塔の見とは依正の二報なり。得見恒沙の見は正報なり。見宝塔の見は依報なり云云。
 
    宝塔品二十箇の大事
    第一 宝塔の事  文句の八に云はく「前仏已に居し今仏並びに坐す。当仏も亦然なり」と。
  御義口伝に云はく、宝とは五陰なり、塔とは和合なり、五陰和合するを以て宝塔と云ふなり。此の五陰和合とは妙法の五字なりと見る、是を見とは云ふなり。今日蓮等の類南無妙法蓮華経と唱へ奉る者は見宝塔なり。
    第二 有七宝の事
  御義口伝に云はく、七宝とは聞・信・戒・定・進・捨・慙なり。又云はく、頭上の七穴なり。今日蓮等の類南無妙法蓮華経と唱へ奉るは有七宝の行者なり云云。
    第三 四面皆出の事  文句の八に云はく「四面出香とは四諦の道風四徳の香を吹くなり」と。
  御義口伝に云はく、四面とは生老病死なり。四相を以て我等が一身の塔を荘厳するなり。我等が生老病死に南無妙法蓮華経と唱へ奉るは、併ら四徳の香を吹くなり。南無とは楽波羅蜜、妙法とは我波羅蜜、蓮華とは浄波羅蜜、経とは常波羅蜜なり云云。
 

平成新編御書 ―1752㌻―

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